石見銀山の価値

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石見銀山代官所同心遺宅柳原家

柳原家住宅は、大森地区の武家屋敷の中で最も質素な屋敷です。この、比較的小さな平屋建ての建物は、この地区の大半が火事により焼失した1800年以降に建てられました。この家は、鉱山の中心部に出入りする人々や物資の流れを規制する口留番所を監督するために雇われた下級役人である同心(現代の警察の警部に概ね相当)の住宅でした。この口留番所の番人は、銀山に入った物資の税金が支払われているかどうか、政府の財源となる銀がこっそりと持ち出されていないかどうか、また、鉱区内での労働や、居住を許可された人々だけが入っているかどうかなどを確認する役割を担っていました。また、同心は、口留番所と、石見銀山を治めるべく幕府から任命された大森代官が勤務していた大森代官所を結ぶ連絡窓口としての役割を果たしていました。

 

同心は特に高給というわけではなく、代官所を中心としていた石見銀山では、「中流階級」とされていました。そうした質素ながらも、武士階級に尊重されていた武家ならではの気風が、柳原家住宅に反映されています。それは、今は失われていますが堂々とした門と塀、元々は副収入を得るための賃貸用の建物がかつてあった家から塀まである広い庭です。母屋の隣には耐火性が備わった小さな土蔵があり、これも武家には必須の建物でした。柳原家住宅は一般公開されていません。