石見銀山の価値

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西性寺

西性寺は、大森町の中心部の西に位置する浄土真宗の仏教寺院です。大きな本堂は、1739年に建てられたこの境内最古の建物です。あわせて西寺では、特徴的な経蔵が有名です。寺の経典を保存しているこの建物は、明治時代から第二次世界大戦前の1930年代後半にかけて石見地方で盛んになった芸術の一つ、鏝絵という漆喰のレリーフ画で装飾されています。鏝絵は、寺院や、豪商の家と蔵の装飾によく使われていました。火事や悪霊を追い払うと信じられていた龍や、豊穣や商売繁盛を象徴した兎など、縁起の良い図柄がよく用いられていました。石見の漆喰細工の人気は東京や大阪にまで及び、石見の職人は、国会議事堂や、東宮御所などの建築物の装飾を手がけました。

西性寺の鏝絵は、鏝絵の名人のひとり、「左官の神様」と称えられた松浦栄吉(1858–1927)の作品です。栄吉が1918年に60歳になった後に制作されたもので、鳳凰(ほうおう)と呼ばれる神話上の鳥、大輪の牡丹と菊の花が描かれています。

栄吉は、石見銀山に近い日本海側の町、仁摩町の出身です。東京、大阪、福岡、そして当時は日本の植民地であった朝鮮半島の複数の都市で腕を振るい、輝かしい経歴を残しました。栄吉の墓所はこの西性寺にあります。