石見銀山の価値

石見銀山調査研究所

生物環境調査

世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」という名称のように、石見銀山遺跡には鉱山跡と自然景観が一体となって残っており「自然との共生」が高く評価されています。これまで植生図の作成や生物相の調査を行い、代表的な自然環境相を有する地点の把握が行われ、設定された地点や特定の動植物の定期的な調査(モニタリング)を実施しています。また、植物が遺産に及ぼす影響についても調査を行ってきました。
これまでの調査結果からは、生物環境や遺産の保全に影響が及ぶような変化は見られていません。

(1)生物調査
調査地点を設定し指標とする動植物の有無の確認と合わせ、生物環境の概要を記録しています。また、コウモリ類や洞窟性昆虫類、ギフチョウ、ラン類などは特定動植物として生息状況の記録を行っています。
特に大久保間歩ではコウモリの冬眠調査を継続して行っています。大久保間歩にはキクガシラコウモリ・モモジロコウモリ・ユビナガコウモリ・テングコウモリの4種のコウモリが冬眠していますが、彼らの生活は未だに謎だらけです。今後も環境を守りながら調査を続けていきます。

(2)植生調査
石見銀山遺跡は広大な面積を有しています。その多くは山林で様々な植物が繁茂しています。これらの植物は大地に根を張り、多量の水分を溜める「緑のダム」として防災上の役割も非常に大きいのですが、植物の根は地表面や地下を侵食しているとも言え、遺跡の保全との両立が求められます。

また、石見銀山が閉山したのちの植林や、外来性の植物の繁茂も見られます。このように遺産内の植物の適切な管理を行い、自然との共生を今後も続けていくために植生の管理を行っていきます。植物相の調査も行っています。