石見銀山の価値
石見銀山調査研究所
テーマ研究
テーマ別調査研究とは?
石見銀山遺跡では世界遺産登録前から発掘調査や文献調査、石造物調査等の基礎調査研究を行ってきました。さらに世界遺産に登録された翌年から石見銀山遺跡の価値をより高めるために、テーマ別調査研究をスタートさせました。
テーマ別調査研究は考古学、文献史学をはじめ歴史地理学や鉱床・地質学など関係諸科学の研究者を客員研究員に委嘱して、島根県教育委員会と大田市教育委員会との共同研究として実施するものです。多面的な調査研究を実施することにより、基礎的研究で得られた成果を生かすことができます。
複数の遺産で構成されている世界遺産で、かつ、内容がわかりにくい銀鉱山という遺跡の性格上、複数分野の調査研究の成果を総合的に研究することで石見銀山遺跡の特質を明らかにすることができ、世界遺産としての価値がさらに理解しやすいものとなります。
現在行っているテーマ別調査研究は「港町温泉津の景観と変遷」「東アジアの鉱山比較研究」の二つです。これらの調査研究の成果は報告書としてまとめられるだけでなく、展示にも活用されるなど調査研究の成果が公開されています。
(1)「港町温泉津の景観と変遷」
石見銀山の外港として栄えた温泉津は石見銀山の開発に関わる多くの人々の生活を支える物資が集まる港町であり、これまでの調査研究で物資の他、人の交流が幅広く行われていたことがわかってきました。また、温泉津は温泉街としての歴史も古く、古い町並みや景観を今も良好に残していることから温泉街として日本で初めて重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
ここ温泉津の調査研究を進めることは石見銀山の研究を進める上で非常に重要であることから、以下のポイントを掲げテーマ別調査研究を立ち上げました。
①温泉津湊の成立と発展の歴史を明らかにする。
②鉱山町の盛衰と港町の盛衰の比較を行い、港町の機能変化を探る。
③港町の景観と暮らしの構造を明らかにする。
このように温泉津を総合的に調査研究することにより石見銀山の特質を解明したいと考えています。研究の成果は随時発信していきたいと思います。
(2)東アジアの鉱山比較研究
石見銀山遺跡が世界遺産に登録された際、ユネスコからアジアの鉱山とのテーマ別研究を要請されました。このことから①石見銀山と国内鉱山、②石見銀山と海外鉱山との比較研究をテーマに研究することになりました。
これまで台湾の鉱山との比較研究を始め、あわせて国内の著名な鉱山との比較研究を実施しています。近年はアジアの鉱山以外に16世紀から17世紀の世界の鉱山との比較を行うべく、調査研究を進めています。
この調査研究の成果は報告書としてまとめられ、展示に成果が活用される予定です。調査研究の成果は当ホームページでも随時発信していきます。